kotoko’s blog

映画や本の感想。「内容」にはオチまで書きます。

カラー・アウト・オブ・スペース

内容

ニコラス・ケイジ一家が暮らす田舎にあるガードナー家。

家族構成は、

野暮ったくて真面目で家族を愛する夫(ネイサン)

ほどほどに美人で厳しい母親の奥さん(癌にかかっている)(テレサ

優しくてちょっとどんくさい長男(ベニー)

ゴスに傾倒していて反抗期だけど家族愛もちゃんとある長女(ラヴィニア)

可愛い可愛い眼鏡坊やの次男(ジャック)

の5人。それに、愛犬のサムとアルパカたち。

ある日家の前に隕石らしきピンクに光る物体が落下する。なんだか不気味な落下物に一家は警戒し、警察にも連絡するが、隕石は数日で消えてしまう。

だがやがて井戸の周囲に謎の花が咲き、近所の変わり者のエズラ(ネイサンの叔父)が飼っていた猫のGスポットが行方不明になり、ジャックは見えない友人と遊びだし、テレサは何かに意識を乗っ取られ料理中に自分の指を切り落とし、事態は加速度的におかしくなっていく。

一方近くのダム建設のために水質調査(波紋調査?ハイドロなんとかかんとか、謎のことを言っていた)に来ていた男は異変を察知し、水を調べ、住民たちに水を飲むなと伝える。

ある晩、消えたサムの声を追って外に出たジャックと母親は「ピンクの光」に強くさらされ、融合してしまう。二階という名の屋根裏に運び込み、懸命にケアしようとするが、何をどうすることもできない。ネイサンは銃を持ち、子どもたちを部屋から出して決着をつけようとするが、結局撃つことはできない。

ラヴィニアとベニーはここを逃げ出そうと画策する。が、納屋のアルパカたちは融合して化物と変しており、ラヴィニアの愛馬もすでに「ピンク」に乗っ取られていて言うことを聞かず、ベニーは井戸に呼び込まれて消えてしまう。ネイサンはラヴィニアを屋根裏部屋に閉じ込め「母親を満腹にさせてやれ」と告げる。

水質調査マンと保安官たちがガードナー家に辿り着くが、ネイサンは家族の幻影と共にうつろな目で過ごしている。ラヴィニアの悲鳴を聞きつけて屋根裏にあがり、なんとかラヴィニアを助けるが、ラヴィニアは「誰もここから出ることはできないのよ」と告げ、最終的にラヴィニアもネイサンも「ピンク」に呑まれて死んでしまう。

生き残った水質調査マンが、ダムを眺めながら「俺は水を飲まない」と言ってEND。

 

感想

映画をみると「愛らしい子ども、可愛い女の子、最高の犬が出てきているけど、これはこれらが助かる系か……?」と、つい思ってしまうのだけれど、容赦ない系でした。

犬が助からない系の映画です。

ニコラス・ケイジ×ラヴクラフトを見逃してはならないと、感染者数の増える中映画館に行ってみてき。面白かった。事前に映画の好みがあう友人から「そこまでじゃなかったから期待せず」という情報をもらっていてハードルがうんと下がっていたのが良かったのかもしれない。

冒頭のラヴィニアが悪魔との儀式で「母親の癌を治してください」と祈っているところからすごく良かった。それをうっかり見て儀式を台無しにしてしまう水質調査マンが心惹かれるのもよくわかる。しかも白馬を駆って帰宅するときたもんだ。愛すべき反抗期の娘。兄をアゴで使うことが当たり前で、でも家族をちゃんと愛している。

子どもたちがみんな魅力的なの、すごく良かったな。ベニーのどこか間抜けないい奴感も良かったし、ジャックはとにかく可愛かった。眼鏡の可愛いみんなのジャック。

一番面白かったのは、何かが確実におかしくなっていく中でのネイサンの見せる怒り。アルパカを納屋にもどしていないベニーへの怒り、車のエンジンがかからないことへの怒り、どうにもならない妻と息子の惨状への怒り。そりゃ車の天井をガンガンに殴るよ。わかるよ、ネイサン。

ジャックとテレサは本当にひどかった。もうはやく彼らを楽にしてあげてよ……と思わずにいられない泣き声(鳴き声?)で、たまらなかったな。ネイサン、まじで撃て。しかしここで撃てないあたりが残酷でいい。最終的に娘を餌にしようとするし。あらすじを書きながら思ったけど、テレサが指を切り落とす事態になっても、病院には行けてたから、あの時ならまだ逃げることができたんだな。

「場」から逃げることができない、というのはひとつの恐怖の典型だけど、ちゃんと怖くてすごくよかった。馬……。

 

ただ、最終的にピンクの奴らの姿が見えて、水を汚染してるってなっちゃうのが個人的にはイマイチでした。生物としての概念が異なる侵略者による、悪意なき無邪気な探求の結果であってほしかった。理解できる範疇に降りてきちゃったぞ、という気持ちでした。

原作読もう。