kotoko’s blog

映画や本の感想。「内容」にはオチまで書きます。

来る

内容

妻夫木聡黒木華の完璧夫婦。

少し問題はあるものの、一見幸せいっぱいの2人だが、妻夫木聡は上辺だけの空っぽ男だし、黒木華は母親からのネグレクトと夫の不誠実さから心のバランスを崩しかけて妻夫木の友人と不倫をしている。

2人の間に娘が出来てから、何かがおかしくなる。「チサさんに関すること」で訪ねたきた客を案内してからおかしくなって死んだ同僚、千切れて落ちたお守りの山、荒れ果てた家。

妻夫木は高校時代からの友人で民俗学を専門とする友人に相談し、ライターの岡田准一とキャバ嬢で霊能力者の小松菜奈を紹介してもらう。 尋常ではない事を察知した小松菜奈は懸命に立ち向かおうとする。が、力及ばない。小松菜奈の姉で「真の」霊能力者である松たか子も電話で応対するが、努力もむなしく妻夫木聡は死んでしまう。

1人で娘を育てる黒木華。しかしやはりそいつはチサのことを諦めておらず、黒木華も死んでしまう。

チサに固執する子どもを産めない小松菜奈小松菜奈固執するかつて恋人に堕胎させた事のある岡田准一。除霊のためにあらゆる力を集結させる松たか子。チサの棲まうマンションを舞台に、大規模な「お祓い」が始まる。

チサは孤独に過ごすうちに、そいつを、手懐けていたことがわかる。チサはアチラ側に送るべきだとする松たか子に、小松菜奈は従えない。チサを抱きかかえ、岡田准一と共に逃げ出してしまう。

強大で凶暴なそいつに囲まれた松たか子がどうなったのか、チサを抱いた小松菜奈岡田准一はどうなるのかは、杳として知れない。

感想

面白かった!!!今あらすじを思い出しながら色々なシーンを頭に呼び起こしていたけど、どこも良かった…… 1番のお気に入りは、松たか子岡田准一を殴るシーンなんだけど、それ以外も良い。

まずなんてったって、読経がヒップホップのリズムに乗るオープニングが良い。単純にカッコいい。あ、これいけますわってなった。

田舎の通夜の親戚付き合いの煩わしさ、そこからバタフライがかかっての結婚式の描写、唐突な岡田准一の三途の川、やたら暗転して移動する時系列、チサちゃんの夢のオムライス王国、全部面白かった。

私はとにかく、前半主人公だと思っていた人物が途中でガラリと変わる構成が大好物なのだ。 妻夫木聡のダメな感じも良い。いいとこばかり書いたイクメンブログを運営していてフォロワーもいるブロガーだけど内実はオムツさえ替えないクソ、というのも良いし、仲間内では昔から空っぽと評されている感じがすごくうまい。岡田准一に「でも必死で奥さんと娘さんを守ろうとしてるように見えましたよ」って言われてハッとするくらいムカつきながら観ていた。

民俗学をやっていて、黒木華を口説く友人も良かったな。なんてったって色気があるし、昔から妻夫木の持っているものを全部横取りするのが好きだったって黒さも良い。 小松菜奈も良い。見た目がとにかく良い。一生懸命な努力の霊能力者で全身傷だらけで、でも本人曰く「バカだからわかんない」なとこが、最後の暴走含めて説得力ある。

しかしなんてったって淡々と話すスーパー霊能力者の松たか子の強さ。黒づくめの衣装、脚をどかっと広げてタバコを吸う佇まい、警察の上層部とつながっている大物感、何をとっても真剣に漫画じみた馬鹿馬鹿しさで、満点。 はーーー。良いモンみたなー。