kotoko’s blog

映画や本の感想。「内容」にはオチまで書きます。

デンデラ

内容

姥捨て山の習慣がある雪深い山奥の村。70歳を過ぎた老婆は子に背負われて山に捨てられてしまう。そこで成仏すると極楽浄土に行ける、と言われている。

ある日順番が来て山に捨てられるカユ。覚悟を決めて横たわっていたのだが、目覚めると老婆たちに囲まれていた。そこは、以前同じように捨てられた老婆たちの作った「デンデラ」という共同体だった。

助け合い、自分たちだけで生きているデンデラだったが、一枚岩ではない。村に復讐しようという過激派が最多数で、竹やりアタックの練習などをしているが、このままここで静かに暮らそう派もいる。

しかし、デンデラは冬眠しそこねた熊に何度か襲われ、このままでは冬を越せない事態になってしまう。村に攻め入って村を乗っ取るしかない!と覚悟を決める老婆たち。そうしている間にも熊の襲撃はくる。壕を掘ってもダメ。囮になる人を作って家ごと火を放ってもダメ。なんとか小熊はしとめたものの、母熊に逃げられてしまい、凄惨な逆襲をされる。

とうとう武装して老婆たちは村へと向かうが、その道中にも熊は襲いかかる。続々と倒れていく老婆たち。途中雪崩にも襲われる。「そんなに私たちを阻みたいのか、山の神!やれるものならやれー!」と雪崩に仁王立ちするも、あっさりと雪に飲まれてしまう。

カユは襲撃派でもなんでもなかったが、サバイバル能力の高いヒカリと共に、熊に向かってゆく。倒されるヒカリ。カユは必死に山道を駆け下り、手負いの荒れ狂う熊を率いたまま、自分たちを捨てた村へと突っ込んでゆく。響く村人の銃声。

「勝ったのは、おらたちか、おめか」

感想

いやーすごかった。熊がとにかくこええ。何やっても勝てない。熊への絶望感は『シャトゥーン』や『羆嵐』並だった。しかし老婆たちもすごい。倍賞美津子さんの演じる女性は平和派なんだけど「村の掟をやぶっただために離婚させられて片目をえぐられて村の男たちの慰み者になった」という設定の片目アイパッチで、すごいけど、なんか、かっこよすぎて漫画っぽいというか、いやすげーな、という感じ。

山に捨てられた直後のカユの放尿シーンもかなり印象的だった。

予告を観る限りでは、山に捨てられた老婆たちがサバイバル生活しているんだろうなって予想はしていたんだけど、こんなにも熊映画だとは。村に復讐したい気持ちもわかるし、このままここで静かに暮らそうもわかるし、でも熊ー!熊ぁぁぁああ!!という。

ちょっと期待していたものとは違ったかなぁ。でも面白かったなぁ。なんでこんなに豪華な出演陣なんだろう。村の男たちの身勝手さにかなりフォーカスされていたから、そのへんもあって女優陣が乗ったのかもしれないな、とか想像してしまった。

最後、熊よ村を滅ぼしてくれ!!!って思っちゃったもんな。でも多分熊は猟銃で倒されてんだよなー。

エンドロールで初めて原作が佐藤友哉だったと知って驚いてしまった。こんな小説も書いていたのか……。