kotoko’s blog

映画や本の感想。「内容」にはオチまで書きます。

パラサイト

内容

半地下の家に住む主人公家族。裕福ではないが、仲が良い。PC画像ソフトを使いこなす賢い娘。料理のうまい母。頼れる父。大学に進学したかったけど経済的にできなかった息子。

ある日息子の友人(大学に進学した)が裕福な家の家庭教師のアルバイトの話をもってくる。面接に行くと気に入られ、裕福長女の家庭教師の座におさまることができる。数日後に裕福弟に絵の先生を探していることを知った息子は、自分の妹を優秀な教師として紹介する。彼女もまた絵の先生の座におさまることに成功する。そうして、父は運転手、母は家政婦として、主人公家族は全員が裕福一家に雇ってもらうようになる。

裕福一家が裕福弟の誕生日祝いにキャンプに行き留守になった夜、主人公一家がみんなで裕福家のリビングで飲み食いしているとインターフォンが鳴る。モニターにうつっていたのは、母親が入り込むために辞めさせた前任の家政婦だった。

大雨でずぶぬれの哀れな家政婦を、現家政婦の母は、つい家に入れてしまう。彼女は一目散に地下の貯蔵庫へと入っていく。そこには棚で隠された隠し扉があり、さらなる地下へと続く階段があった。家政婦はその家主も存在を知らない地下のシェルターに夫を住まわせていたことがわかる。現家政婦に「夫だけは住まわせてやってくれないか」とすがる元家政婦。そんなことできない、すぐに雇い主に報告するとつっぱねる現家政婦。だがそのもめごとの最中に、様子をみにきた主人公一家が物音をたててしまい、取っ組み合いの末に元家政婦に「この家の家庭教師と絵の先生と運転手と家政婦は実は家族だ」ということがばれてしまう。

リビングで元家政婦夫婦にいいように遊ばれる主人公一家、そこに家主一家が帰ってくると電話が入る。大雨でキャンプは中止になったのだ。元家政婦たちを地下に蹴りこみ(このへん記憶が曖昧)散らかしまくったリビングのゴミをテーブルの下に放り込むあたりで帰ってきてしまう裕福一家。リビングのテーブルの下に隠れた息子、娘、父親。家政婦の母は台所で麺を作る。

裕福弟は天真爛漫に庭にテントを張ってそこで寝ると言い張り、裕福夫婦は庭が見渡せるリビングのソファで今夜は寝ようと決める。すぐそばのテーブルの下に息をひそめている主人公一家「運転手はとてもわきまえている。だが、匂いが我慢ならない」と妻に話すのを聞いてしまう。

夫婦が眠った隙になんとか家を脱出する3人。雨は濁流になって低いほうへ低いほうへと流れていく。その水の流れを追いかけるように帰宅すると、半地下の家は半分水没していた。

地下の元家政婦は階段から転げ落ちた際の打ちどころが悪く、亡くなってしまう。怒り、悲嘆にくれた夫は地下から玄関の明かりでモールス信号を送る。が、その信号はテントで眠る裕福弟にしか届かない。

翌日は晴天の下、裕福弟の誕生日パーティーが開かれる。運転手の父もインディアンに扮装して参加させられる。客として招待された娘は母と地下の2人に食べ物を届けようと相談し準備をする。息子は地下の2人のことがどうしても気になって地下への扉をあける。そこには怒り狂った元家政婦の夫がいる。

息子は地下の貯蔵庫で夫に頭をメッタ打ちにされて倒れる。食べ物を運ぼうとしていた娘は呼び止められ、裕福弟にケーキを運ぶ役目をおおせつかう。刃物を手に入れた元家政婦の夫は、にぎわうパーティー会場へと向かう。憎い一家を探す目がケーキを運ぶ娘をとらえ、手にした刃物で胸をひとつきにしてしまう。一瞬で大混乱となるパーティー会場。元格闘家の母親は元家政婦の夫の攻撃をかわし、娘へ駆け寄る。インディアンの扮装で茂みに隠れていた父親は、元家政婦の夫の刃物を取り上げ逆に彼を刺し、その後その刃物を雇い主であった裕福な父親をも刺す。

数日後、ベッドで目を覚ます主人公息子。頭を強打していたけれど命は助かったことがわかる。娘は死亡。母親と息子は起訴されるが、内容は公文書偽造等の、軽微な罪状だった。父親は指名手配されているが行方はわからない。

ある日息子がかつて勤め先だった裕福な家を眺めていると、玄関のライトが不自然に点滅していることに気づく。父親は例の地下室に逃げ延びていたのだ。お金持ちになってあの家を買い取ることでお父さんを迎えに行ける、とその日を夢想してEND

 

感想

面白かった。上に書いていない色々な描写が細部まで無駄なくつながっていて、とても良かった。

主人公一家の父親はどうやら流行の商売に手をだしては機を逸していて失敗するパターンを繰り返して貧乏になっているらしく、フライドチキン屋、カステラ屋と日本にいても耳にしたような流行を追っていたんだけど、地下の元家政婦の夫も同じ商売に手をだして失敗してこうなってしまったことがわかった時にはシンパシーを抱いていたし、お互いを心底から憎んではいないのが伝わってきた(それが殺すほどの殺意につながるのは家族を殺されたから)

そういったシンパシーの真逆にいるのが裕福一家の主人で、評価はするけど一線は絶対にこえてくるなよ、というのが明確で、奥さんのわがままに付き合うのも大変ですね、みたいなちょっとプライバシーに踏み込んだことを言うとスッと引いて「これはビジネスだぞ」と跳ねつけるのが、とても残酷で、だからこそ最終的な殺意にも納得がいった。

臭い、は、ものすごい侮辱だよね……。でもすごくわかる気がする……。

あと、上の内容にまるっと書いていないのだけど、裕福娘と主人公息子の恋愛も結構よかった。というか、主人公息子をあの混乱のなかでかついで逃げる娘が逞しくてすごくすごくよかった。(息子は地下室の扉が開いている状態で貯蔵庫に倒れていた気がするから、彼女が救出した時には扉が開いていたんじゃないのかなー???という疑問はある)。息子に家庭教師の話をもってきた友人がそもそも彼女と結婚したいと言っていたけれど、彼らは付き合っていたんだろうか?それとも片思いなんだろうか??彼がくれた石の意味もあんまりよくわからなかった。お金持ちがくれたからといってただの石を後生大事にすることの無意味さ??

そういえばこの母親はものすごく子どもたちを持て余しているというか、息子も元家政婦のほうになついているようだったし、絵の先生として入った主人公一家の娘にだっこされて大人しくしていたし、わが子との距離の詰め方がわからない感じがあって、頭でっかちな感じなんだなーと。でもお金持ち一家も悪い人たちではないんだよな。すごく素直で優しくて。

言い尽くされている話なんだろうけれど、お金持ちの一家に寄生して生きる貧乏な主人公家族の話、でありながら同時に、彼ら下働きの人たちがいることに依存して生きるお金持ち一家の話でもあった。

水があふれるトイレの上に座ってタバコを吸う主人公娘の姿がすごく良くて頭に残っている。賢い子なのに死んでしまって悲しい。多分この主人公の男の子がお父さんを迎えに行く日は来ないんじゃないかな……。