kotoko’s blog

映画や本の感想。「内容」にはオチまで書きます。

誰も知らない

実際の事件を元に是枝監督が作った映画、という知識はある状態で鑑賞。

内容

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%AA%B0%E3%82%82%E7%9F%A5%E3%82%89%E3%81%AA%E3%81%84

オチまでちゃんと書いてあった。

 

感想

YOUのことをどこか憎めないのがすごい。子供たちが母親を慕うのがものすごくよくわかる。でも無責任で、子どもたちを憎んでいるわけじゃないことはわかるけど、自己中心的な母親にぴったりだ。天才的な配役。そしてアキラの一生懸命な、そりゃあイヤにもなっちゃうよな、というひたむきさ。

誰か、誰かこの子たちを助けてあげてくれーと叫びたくなる。大家さんが来た時、わー通報されちゃう、この子たち、バラバラになっちゃう、とハラハラしつつ、でもちょっとホッとしたのに、大家さんは何もしなかった。絶対に「なんかへん」って思ったはずなのに。

途中コンビニのバイトの女の子が「福祉団体とかに連絡しなよ」とアドバイスしてくれるのを、アキラが「前にそれで4人バラバラになっちゃって大変だったから」と断るあたりがものすごくリアルだった。そして、それっきり、そういうことを言わなくなるというのが。

コンビニバイトの半大人たちは、代替わりをしても親切で、男の子になってからは廃棄のオニギリをくれたりもしたけど、そういう親切は本当に表層的というか、いや、それであの子たちは命を繋いだんだから親切な人が誰もいないよりずっとずっといいんだけど、でも、保護にはつながらないというのがしんどかった。

今は、この映画がつくられた頃よりは福祉とか児童の保護とかの意識が高まっているよな、と肌で感じている。そうであってほしい。ありきたりな感想だけど、アレ?と思うことがあったら関われるような生き方をしよう……。

 

見終わってから、モデルとなった実在の事件はどうなったのかを調べたら、映画はこれでもマイルドにしてあったんだな、と打ちのめされた。そこに書かれていた「長男が今どこでどうしているかは不明」というのが忘れられない。この過去を乗り越えてどこかで普通に生きていてほしいな。